生きものアルバム

散歩などで出会った生きものたちについて、備忘録を兼ねてアルバムを作っていきます。更新は不定期て、ちょっとずつです。

ヒメオドリコソウ(シソ科オドリコソウ属)

細かい毛が生えた帽子、下に突き出した紫班入りの花弁。花の形はホトケノザによく似ているが色はだいぶ薄い。葉は元の部分が太く、先端に向かって細くなっていて、丸く襟巻をまいたようなホトケノザとは明らかに違う。上段葉が赤紫色を帯びているのもホトケノザにはない特徴。
(2025年3月 さいたま市

メフィラス星人……??…てのは置いといて。ホトケノザに比べて花びらの紫の班点は不明瞭な感じ。引き抜いてみると花の根元のところは細長くなっているが、ホトケノザよりは短い。

公園内の道端に咲いていた一群。普通に歩いていると、色の薄い頭頂~後頭部しか見えないのであまり目立たない。
(2025年3月 北本市

白変種(左側手前)。珍しいものらしく、他に場所では見たことがないし、何キロも続くこの土手でもこの一角にしか見当たらなかった。
(2025年4月 さいたま市

上側の葉は赤紫を帯びず、花は純白で内側にうっすら赤紫が残るのみ。下に突き出た2枚の唇にも紫班点はなく、頭頂を覆う毛も白い。花の紫も葉の紫も両方抜けるというのが面白い。連動しているのだろうか??

 

【MEMO】

ヨーロッパ原産の帰化植物*1。春にホトケノザによく似た花を咲かせる。ホトケノザと同じく道端や農耕地などそこら辺に生え、花期も重なっている。とはいえ、花色や葉の特色はかなり違っているので、両者を知っていれば取り違えることはないだろう。

ホトケノザに関しては、近縁種のヒメオドリコソウとの交雑を防ぐために閉鎖花(開花しないまま自家受粉して種子を作る)が利用されている*2、と言われている。ホトケノザの閉鎖花については図鑑やネットのサイトなどでもよく言及されているが、ヒメオドリコソウについては見当たらないようだ。ヒメオドリコソウの影も形もない場所でもホトケノザの閉鎖花はある。ということは、ヒメオドリコソウの方には閉鎖花システムはないが、ホトケノザは以前から持っていた閉鎖花システムをヒメオドリコソウ対策としても使ってる、ということなんですかね?

公園や緑地などで注意してみると、ホトケノザが優勢なところもあれば、殆どがヒメオドリコソウという所もあったりして面白い。両者によく似たモミジバヒメオドリコソウ*3というのもあるそうだし、ヒメがつくからには本元のオドリコソウ*4もあるわけだし、いつか見つけてみたい。

なお、花の白変については、「まれに植物体が紫色をおびず、花が白色の品種が基本型に混成することがある」*5とされている。

 

*1:矢野亮監修、『増補改訂フィールドベスト図鑑1 日本の野草 春』、2009年、P15

*2:ホトケノザの閉鎖花を発現させる至近要因としての近縁外来種ヒメオドリコソウ

*3:

mainichi.jp

*4:矢野亮監修、『増補改訂フィールドベスト図鑑1 日本の野草 春』、、Gakken、2009年 P137

*5:大橋 広好、門田 裕一、邑田 仁、米倉 浩司、木原 浩 編、『改訂新版 日本の野生植物 5+総索引 ヒルガオ科~スイカズラ科』、平凡社、2017年 P126